編集部ブログ

5/31(木) 11:45
コスタクルタが語る黄金の7人の知られざる素顔U
■デル・ピエロ
デル・ピエロ
ピッチ上では何度も対決したが、アッズーリの仲間でもある。98年W杯ではともにレギュラーとしてプレーした。

《波乱万丈のキャリアを平然と乗り切っている》

 一人の人間としては、至って普通だ。サッカー選手はよちよち歩きの頃からボールを蹴って、それだけをやって成長する。厳しい競争の中で生き残るには、そうするしかないからだ。だけどデル・ピエロは、「どこにでもいる普通の男」の部分を持ち続けている。そんな性格だからだろう、彼はサッカーに入れ込みすぎることなく、適度な距離感を持って日々の仕事に取り組んでいられるんだ。少なくとも俺の目にはそう見えたね。

 まあ、そうでなければ、あれだけ波乱万丈のサッカー人生を平然と乗り切っていくことなど不可能だったはずだ。98年の大ケガ、カペッロとの確執、セリエBへの陥落、そして今シーズンの不完全燃焼の日々……。並の選手なら心が折れてしまうようなトラブルに何度も巻き込まれてきた。それでも一度としてユヴェンティーニを裏切っていない。そこがデル・ピエロのすごいところだ。

■トッティ
トッティ
ビリーは「最も気に入っている選手」と評し、00年にはメディアを通じて「ミランへ来い」とラブコールを送った。

《荒っぽく見えても誰より人間らしい男》

 フオリクラッセと呼ばれる選手は少なからずいる。ここまで話してきた5人もそうだ。しかし、フランチェスコは比較にならないものを持っている。いや、「背負っている」と言うべきかな。つまり、トッティはローマというチームの王様であり、ローマという“永遠の都”のシンボルなんだ。その事実は時に彼の決断、行動に大きな影響を与える。選手として特別な刺激を得られる一方で、一個人としての言動は何一つ自由にならない。それは相当な重荷だと思うよ。

 フランチェスコの人の良さ、寛大さを知らない人が多いみたいだから言っておこうかな。セリエAの多くのチームでは、クリスマス休暇に入る時点でそれまでの出場給やゴールに対するボーナスが支払われることが多い。トッティは毎年、そのボーナスをローマで働いている裏方のスタッフに分配する。あいつはキャプテンであり、バンディエラかもしれないけど、そこまでする必要があるのかと思わないかい? でもあいつは、毎年そうやっているんだ。クラブが財政危機だと聞けば自ら年俸ダウンを申し出るし、給料遅配があった時には若手の給料をあいつが立て替えて払っていた。ピッチ上での姿だけを見ていると、ちょっとガサツで荒っぽい性格に見えるかもしれないけど、誰よりも人間らしい男なんだよ。

■ブッフォン
ブッフォン
96年、別のGKが故障してA代表に急きょ呼ばれたブッフォンにビリーが声をかけ、2人の親交は始まったそうだ。

《どうしてもあいつからゴールを奪えなかった》

 ジジを初めて見たのは、95-96シーズンのことだ。鮮烈なデビューだったから覚えているよ。そう、パルマで17歳のあいつがセリエAデビューした試合、対戦相手が俺たちミランだったのさ。あの日のジジは、まさに神がかっていて、信じられないようなセーブを連発した。内容では明らかにミランが勝つべき試合だったけど、結果はスコアレスドローさ。どうしてもあいつからゴールを奪えなかった。

 ジジは驚異的な反射神経で迫り来るシュートを次々と止めた。だが、それ以上にすごいと思ったのは、17歳にしてベテランの風貌と安定感があったこと。前に飛び出す時にも、決して闇雲にではなく非常に冷静に状況判断をしていた。GKは年齢がモノを言うポジションだけに、あの成熟ぶりには驚いたよ。それと、ジジは常に謙虚だ。自尊心とうぬぼれは紙一重で、自信を持ち続けることは必要だが過信はいけない。ジジは日々の試合をこなすために必要なだけの自信をキープしながら、自分の欠点を知り、それを克服するにはどうしたらいいかを常に考えているような男なんだ。それがジジの最大の強みだと思う。

(記事提供:CALCiO2002)